誰かのせいにしたい
そのつまらない人生の責任を他人に押しつけたい。
誰かのせいにしたい。でも身近な誰かのせいにしたら人間として終わっているような気がする、ぐらいの倫理観(倫理観?)は持っている。だから遠くの誰かのせいにする。そいつが権力者だとなおさらいいだろう。だから政治家や官僚のせいにしておく。
自分の仕事がつまらないのは政治家や官僚のせい。
給料が安いのは政治家や官僚のせい。
生きづらいのは政治家や官僚のせい。
そこに自分の責任なんて一欠片もなくて家族や友人や身近な人の責任もない。ぜんぶぜんぶ自分の手の届かないところにいる誰かのせいだから自分の人生がつまらないのは仕方ない。だって自分ではどうにもならないことなんだから。
政治家や官僚のことを悪く言ってもいい。政治家や官僚はたくさんの給料をもらっているから。自分は安い給料で働いているのに、政治家や官僚はたくさんの給料をもらっているのだから、悪く言っても、自分に責任はない。
働くと税金が取られるからたまったもんじゃないと言う。その税金で政治家の給料が払われているんだから、と。舗装された道路を歩きながら、外灯に照らされた道の明るさを、意識することもなく、缶チューハイを飲みながら、ふらふらと歩いている。
平和な世界だ。
自分の何かを誰かのせいにしたい。そうすることで自己責任から逃れたい。
それだけだ。